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不妊・不育ホットラインで、実際に電話相談に応じている女性カウンセラーによるエッセイを、不定期で配信していきます。

第4回 夫婦が試される時―不妊というハードル

不妊治療は夫婦で取り組むものですから、それには夫婦間のスムーズなコミュニケーションが欠かせないのですが、東京都不妊・不育ホットラインにはパートナーとのコミュニケーションに悩む方々から実に様々なご相談が寄せられます。

中でもよくあるご相談として代表的なものについてお伝えしたいと思います。

(1)温度差
(2)セックスをめぐる問題
(3)コミュニケーション不足

(1)まずは、夫婦間の温度差です。「夫が非協力的で検査に行ってくれない」「自分は子供が欲しいのにパートナーは乗り気でない」など、夫婦の気持ちや考えのズレについて悩む方が多くいらっしゃいます。そもそも子供を持つか持たないかから始まり、治療の選択をどうするか、これは、不妊治療を受けるか受けないか、受けるとしたらどこで、どんな治療を、どのレベルまで、いつまで続けるか…等々、実に様々な悩みやズレが生じ、温度差が表面化することがあります。

(2)は、(1)ともつながっていますが、「月に1回の排卵日にかけているのに、夫が協力してくれない」「自分は自然な雰囲気でしたいのに、妻は排卵日以外のセックスに興味を示さなくなった」などセックスをめぐる問題です。これも夫婦にとっては深刻で、男性側が排卵日のセックスで勃起不全に陥ることも少なくありません。

(3)コミュニケーション不足といっても、ケンカになるので話したくない、という場合もあれば、お互いを思いやるからこそ気まずくて話すのを遠慮してしまう、という場合もあります。「治療がつらいけれど夫は協力的なので、つらいと言えない」「男性不妊で治療する妻の疲れた顔を見ると申し訳ないが、どう声をかけていいかわからない」「夫は治療を続けてくれというが自分は限界を感じている、でも言えない」など、苦しい胸の内を吐露して下さる方が多くいます。

不妊をめぐって夫婦関係が危機に陥ることもあります。不妊を理由に別れるカップルもいます。でも、不妊を経験した多くの夫婦がその危機を乗り越えて「夫婦の絆が強まった」という結果が示されている調査も多くみかけます。お互いの違いを乗り越えて、しっかりとコミュニケーションを取ったからこその結果だと思います。夫婦二人だけで話し合うのが難しい場合は、カウンセラーなど専門的な立場の第三者を交えて話し合うのもいいかもしれません。こちらのホットラインで気持ちを吐き出すだけでも「少し気持ちが軽くなった」と仰る方や、パートナーにどう伝えていくかをご一緒にあれこれ考える中で「自分はこう思っていたんだ!」と自分自身の気持ちに気づかれる方、「今度こんな風に話してみます」と仰って下さる方もいらっしゃいます。もちろん1回で全て解決するわけでないことも多いので、何度かお電話を頂きお話を重ねるうちに変化される方もあります。

最終的に子供ができてもできなくても、お二人が不妊というハードルを乗り越えて、お互いにかけがえのない存在になっていくことを願ってやみません。

(東京都不妊・不育ホットライン相談員)

不妊・不育ホットラインカウンセラーの相談エッセイ