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不妊・不育ホットラインで、実際に電話相談に応じている女性カウンセラーによるエッセイを、不定期で配信していきます。

第3回 不妊治療と仕事との両立~仕事を続けるべきか、辞めるべきか~

多くの仕事を持つ女性が「不妊治療と仕事の両立」の難しさを感じています。

不妊治療は女性の生理周期に合わせて検査や治療が進められますが、生理や排卵は「必ずこの日に来る」とは限りません。ある程度は薬で調整できても全てをコントロールすることはできず、卵子がちゃんと育っているか何度もチェックしたり採卵が決まるのは直前だったりと、その度に仕事を休んだり抜けたりしての通院になりがちです。仕事に支障が出ることや周囲に迷惑をかけることを心配したり、それだけ苦労をして治療しても確実に妊娠できるのか、いつまで治療が続くのか分からなかったりと、当事者は大きなストレスを抱えてしまいます。

人によっては職場で不妊治療のことを話すのは勇気がいる方もいるでしょうし、いっそ退職したほうが良いのだろうかと悩んでおられる方もいるでしょう。

もしも仕事を続けたいと思っているけれど、周囲へ遠慮して退職しなければと迷っているならば、まずは、辞めずに仕事を続けるにはどうしたらよいか考えてみませんか?不妊治療は今年度から保険適用になったとはいえ、回数を重ねたり条件によっては保険適用にならないケースもあったりするので、まだまだ費用がかかることがあります。納得のいく治療を受けるためには収入面で少しでも不安が少ないに越したことはありません。また治療そのものにもとてもストレスがかかりますが、仕事を辞めた場合、他のことを考えたり、治療とは関係ない人と接する機会が減ることにもなります。

近年では「治療と仕事の両立支援」に取り組む企業も増えてきました。東京都では両立支援を行っている企業を応援する制度もあります。まず自分の職場にそういった制度があるか調べてみましょう。そういった制度を利用したくても制度がないのであれば、多少の抵抗はあるかもしれませんが、勇気を出して職場の人に話して協力をお願いしてみてはどうでしょうか。

フォローをしてくれそうな上司や同僚の方はいますか?確かに不安はあるでしょうが、それによって職場の理解が得られるかもしれません。「不妊治療連絡カード」という厚労省作成のツールもありますので活用してみてはいかがでしょう。その際には、今自分ができることや考慮してほしいことを「具体的に」伝えると、周囲も配慮しやすくなるかもしれません。また、リモートワークやフレックスタイム制があるなら利用するなど働き方を変えることで、「治療と両立できる働き方」があるかもしれません。他にも、職場の近くや、遅い時間や休日も開いている病院に転院するなども、可能であるなら考えてみてください。

何もかも思い通りにはいかないかもしれませんが、実現できるものを見つけていきましょう。治療と仕事の両立は本当に大変です。ご自分を労わりながら、なるべく無理をせずに両立していけることを願っています。

一方で、「仕事との両立のストレスを無くして治療に専念したい」、年齢等のことを考え、「後で治療に集中しておけばよかったと後悔したくない」などと思い、仕事を退職される方もいらっしゃると思います。「仕事よりも子供を今は優先したい」と思うことは、切実な願いであり選択肢の一つです。いずれの選択を取るにしても、私たちはあなたの選択に寄り添い応援します。

(東京都不妊・不育ホットライン相談員)

不妊・不育ホットラインカウンセラーの相談エッセイ