妊娠と男女のからだ
赤ちゃんという生命は、女性の「卵子」と男性の「精子」が出会って妊娠することから始まります。
女性の卵子は卵巣の中にあり、卵巣は子宮をはさんで左右に1つずつあります。
卵巣に保存された卵子はホルモンの働きによって成長し、十分に成熟すると、卵巣から飛び出します。これが「排卵」です。
卵子は、女性が生まれたときにその数が決まっていて、新たに作られることはありません。毎日減り続けて、やがて卵子がなくなると月経が起こらなくなり、閉経を迎えます。
男性の精子は、精巣(せいそう)で作られます。
約80日間かけて作られ、精子は細い管を通って副睾丸・精嚢(せいのう)に運ばれ、射精されるのを待ちます。
妊娠のプロセス
妊娠成立のためには、「射精」「排卵」「受精」「受精胚の発育」「着床」「着床後の胚発達」の6つのプロセスがあります。
射精
1回で放出される精子は、1億個以上。腟に射精された精子は、子宮頸管と子宮を通って、卵管へと進み、排卵された卵子がやってくるのを待ちます。ここに来るまでに、すでに多数の精子が脱落しています。
排卵
半年前から成長をはじめた卵子の1つが排卵で卵巣から飛び出し、卵管に取り込まれます。
受精
卵子と合体できる精子は、たった1つ。1つの精子が卵子に突入すると、他の精子は入れなくなります。
受精胚の発育
受精した卵(受精胚)は、卵管から子宮へと進んでいきます。最初は2つに、それが4つ、8つ・・・と細胞分裂をくり返し、やがて子宮に到達。
着床
ホルモンの影響でふかふかのベッドのような状態になっている子宮内膜に受精卵が根を下ろします。
着床後の胚発育
着床後も順調に受精胚が成長すれば、10日後くらいに妊娠の反応が出ます。出産までは約260日、おなかの中で赤ちゃんが育ちます。
妊娠しなかったときは、厚くなった子宮内膜は必要なくなり、子宮からはがれ落ちます。これが月経(生理)です。
そして、月経が始まったら、また着床のため子宮内膜は増殖し始めます。女性の体では、これが毎月くり返されます。
すべてがタイミングよくそろって妊娠へ
このようなステップが、すべてうまくいってはじめて、妊娠することができます。どこかに問題があったり、精子と卵子が出会うタイミングがずれていたりすると、妊娠には至りません。
射精された精子が女性の体内で生きているのは3日ぐらいで、排卵した卵子が受精できるのは1日ぐらい。
妊娠するには、この間に精子と卵子が出会うことが必要なのです。